静穏なる君主よ、私は、彼らの言語を知る敬虔な宗教人が共に居れば、彼らは皆、今すぐにもキリスト教徒になるものと考えます。したがって両陛下が、このように偉大な民を教会に帰依させ、改宗させるために、機敏なる措置をとられ、かつて、父と子と聖霊にざんげしようとしなかった者共を滅亡させられたように、しかるべき決定をされますように、神に願うものであります。我らの命には限りがありますが、こうすることによって、両陛下も、生涯を終えられるときは、その王国を邪教や悪の汚れのないきわめて静穏な状態に置かれることになりましょうし、また永遠の創造主の前に喜んで迎え入れられることになりましょう。私は、創造主が、両陛下に末長き生命を与えられ、さらに広大な国や領土を与えられよう祈りますと共に、両陛下が聖なるキリストの教を今日まで弘めてこれましたように、今後もさらにこれを拡大させられるよう、そのための意志と資質を、創造主が両陛下にお与えになることを祈るものであります。アーメン。本日船を浜から下ろしまして、木曜日には神の御名において出帆し、黄金と香料を探し求め、かつ陸地を発見するために、西東に向かうつもりです。
提督は手真似で、カスティリャの両国宝が、カリベ族を滅ぼして彼らの両手をくくり、皆連れてくるように命ずるだろうと語った。そしてロンバルダ砲とエスピンガルダ銃を打たしたが、その弾丸が非常な力で貫いて行くのを見て、彼は感心してしまった。彼らは、砲弾の音をきいた途端に大地にひれ伏してしまったのである。彼らは提督の所へ、耳や目や、いろんなところに大きな黄金片がはめこんでいる大きな面や、金製の飾物を持ってきて、王自らが、それらを提督の頭や首にかけて、また提督と同行して居たキリスト教徒達にも数々の品を贈った。提督はこのように贈物を見て喜び、かつ心慰められて、本船を失ったその苦しみも、悲しみも薄らいだ。そして本船が坐礁したのも、この地に根拠地を設定するようにとの神の思し召しによるものと解した。
クリストーバル・コロン「コロンブス航海日誌」
クリストーバル・コロン「コロンブス航海日誌」